振り返り「NANOHA Detonation」なのは と なのは ~”いつか、きっと”

衝撃的な最終決戦の幕引き・・・そして”高町なのはの物語”も核心へと


希望をも喰らいつくす悪意の閃光が消えた後に残されたもの


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至近での衛星砲護衛機の自爆により、右腕が完全に焼失してしまったなのは。
(設定資料集での説明によると、いわゆる猟奇作品で見れるような爆風でブチっと引きちぎられたものではなく、高熱で炭になって崩れてしまったという状態らしい)
自身のダメージは言わずもがな重症、レイジングハートも大破、バリアジャケットによる生命維持も長く持たない。この宇宙でそのまま息絶えるのも時間の問題。

自分が死に向かうことを感じながらも、レイジングハートに「今度は守ることができたよね」とたずね、間違いなくとの答えを聞いて、
静かにその眼を閉じ・・・


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「・・・満足・・・」


・・・


「ほんとうに?満足?」



・なのは と なのはの向き合い


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今際の際の夢か、目を開けてそこにいるのは幼いころの自分がたずねる。
「なら、あなたは自分が好きじゃないんだ。」

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高町なのはという人となりが、ここで明らかとなる。演じていた田村ゆかりも、こんな悩み抱えてたんだぁとコメント出していたが、おそらくは紙面で書かれている以上の気持ちになったはず。


何もできず、家の片隅でただ一人で泣くしかできなかった弱い幼い自分。
そして、魔法という力を手にしてなお”満足”できない、何かを守ることに執着するあまりに取りこぼすことを恐れ、強くあり続けることを強いる今の自分。
この2人の対面で感じるのは、表立ったギスギス感はないけれど、互いが互いを強く拒絶しているということ。

それでも、魔法との出会いで手に入れたものが、なのはの支えとなっていたのは確か。

魔法の師匠ユーノに、クロノやリンディ達、はやてと八神家(ヴォルケンリッター)たちとの出会い。魔法のことについて秘密を打ち明けて以降も友達であり続けるアリサにすずか。

そして、フェイトとの出会い。

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ぶつかり合いを経てから、名前を呼ばれたこと・友達と呼んでくれたこと。それは自分の力で掴み取った成果であり、使い道が正しかったことの証。
それはなのはにとっての大切な支えとなる。

・・・そのはずだったろうが・・・

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それでも、「本当に・・・うれしかった・・・」という言葉とは裏腹に、それに満足できない、いや満足することを許さない自身の葛藤がその涙から見えてくる。


Reflectionでのなのはのピックアップでも書いたが、やはり高町家の環境が大きく影を落としているよう。
(とらハ3にて)人知れぬところで戦いに身を置く兄や姉に対し、ただ無力な自分は母のそばで喫茶店の手伝いだけ。そして父の怪我の件がさらに自分の無力さを意識させることに。家族を思いやる優しい子ゆえ、兄姉や父はおろか、無理に笑顔で接してくれていた母を見て、自分の無力さに憎しみさえもつようになっても無理はない。
そう見れば、Reflection以上にDetonationにおけるなのはの行動を見れば、その”病”とも呼べるところがだいぶ前面に出てきている。なのはViVidで先祖の記憶にとらわれ過ぎていたアインハルトの姿にジークリンデが痛々しいと言っていた(9巻)が、それと同じことが言えよう。”弱い自分が嫌いで耐えられない”というとViVid Strike!でのリンネも同様だったが、なのはのそれはどちらかといえばリンネよりアインハルトぐらいに、もしくはそれ以上に根が深い。先述の2人の場合だと、アインハルトはヴィヴィオに、そしてリンネはフーカに救われている。なのはのケースだと、確かにフェイトとの戦いは多少なりになのはにもプラスではあるだろうが、それでも克服までには程遠いものだと言わざるを得ない。

全力全開で真っ直ぐだったなのはだけど、その真っ直ぐさはあまりに”歪な方向に真っ直ぐ”だったよう。他人の笑顔は守りたい、だけど自分はそうあってはいけない・そこに安住することを許さないという強迫観念が出過ぎている。


「自分のことは好きになれなくてもいい・・・

だけど、あなた(自分)を好きでいてくれるひとのことを忘れないで




幼い自分から言われるこの一言、これこそが今のなのはに大きく欠けていたものの答えだった。

なのははいわば”るろうに剣心”状態ともいえるだろう、他人のことを思うばかりに自分を犠牲にし、そんな自分を見て他者がどう思うかを考えようとしなかった。他人を思うことと相反して、自分の行動で逆に他人を悲しませているということに気付こうとしない、だからこそ、1stでアリサが独り突っ走るなのはに反発して仲がこじれる結果となったのだ。この時点でも友人を悲しませることでさらに自分を責めていたのだろうと思う(アリサがそれ以上追い打ちをかけなかったのも、おそらくそれがわかっているからだったろう)。
魔法の力を手に入れて、そうした見方を失ったというのはなんとも皮肉なことだ。自分を嫌うあまりに、自分がどうして苦しんでいたかすらも忘れ、逃げていたともいえるかもしれない。父の怪我で家族みんなが苦しんだ、ならば”自分も傷つけばみんなが悲しむだろうな”という当然のことさえ見えなくなってしまっていた。


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自分が悲しいときはきっとみんなも悲しいんだ、好きになれないなら今はそれでいいから一度立ち止まって周りを見て。
幼い自分が諭しているのはそういうことだ。


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夢の終わりに近づき、横たわるところは一面の”菜の花”畑。
ただがむしゃらに走ってきたなのはは、落ち着いて見ることができなかった美しい青空をみて涙を流す。
アミティエがキリエに向けて言った(そして後にキリエからイリスへと継がれていく)「空を見上げて・・・」という言葉がここでも思い出させてくれる。

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そして、幼い自分の声が語りかける。


「・・・いつか・・・きっとね・・・」



・・・


夢が覚め、目を開けた先は自身が漂う宇宙空間。そして・・・


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応急の治療でなのはの一命をとどめてくれたフェイト。そして、少し遅れてはやても駆けつける。


共に残り少ないナノマシンの提供を受けてのフォーミュラモードで救助に来たのだった。

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目の前には、名前を呼んでくれる仲間がいる。自分を心配してくれる友達がいる。・・・自分が傷つけば、苦しんでいれば、いなくなってしまったら悲しんでくれる人がいる。
改めてなのはが感じたこと

「わたしは・・・ほんとうに幸せだねって」

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3人は地上へ帰還する。戦いの夜が真に終焉を迎え、いつもの朝を迎えることができた。

(思い返せば、最初のキリエ戦からぶっ続けですべての戦いがたったの一晩で消化されたのだから、Reflection・Detonationは本当に濃厚極まりない)

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これにて、すべての戦いは終わり、事件は収束へ。


最後に、シリアスから離れて息抜きを

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無くなった右腕もフォーミュラ技術の協力で元に戻るようになるが、当然ながら重症のなのはは絶対安静。
しかめっ面で看病するフェイトに「大丈夫だから」と言っても「ダメです!!」の一声。
完全にダメな旦那の世話する嫁の風景www。
本気で死ぬ直前だったというのに懲りず、これで大丈夫だとかのたまっているうちはw、”いつか”はまだまだ遠いようだ。


・・・高町なのはが真に成長を見せてくれるのはまだ先になるか。・・・これは次作も期待がww


以上で長々しい個人的論評はとりあえず終了。

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